認知症の両親 在宅介護4年目です

認知症の両親 在宅介護4年目です

我が家にも4年前に本格的な「介護ライフ」がやってきました。父が自宅で倒れて救急搬送、入院、ひと月後に退院したのですが、これを境に、あれよあれという間に夫婦そろって認知症が進んでいったのです。

私は妻と交代で毎日、近居の両親宅を訪れ、食事、服薬、着替え、掃除、洗濯など身の回りの世話や、様々な手続きの代行、お金の管理などを担っています。

認知症ですから、相手は何も記憶してくれません。したがって、何事も、何度も同じことの繰り返しです。同じことを何度も聞かれ、何度も答えます。

同じ失敗を何度もし、その後の始末を何度もします。ギリシャ神話の「シーシュポスの岩」のようです。とてもとても、私一人では支えきれるものではありません。

今日までやってこられたのは、妻の強力なサポートと、介護のプロであるヘルパーさん、ケアマネさん、PTさん、お医者さん、福祉サービス施設や行政職員のみなさん、そして近隣の方々のご支援のお陰です。

職場の理解と協力も不可欠です。私は幸い良い上司や仲間に恵まれ、介護がはじまってからは、ほぼ毎日「定時退社」を貫きました。でもやはり、負い目を感じないはずはありません。

みなさまの中にも、同じようなご苦労をされている方がきっといらっしゃると思います。あるいは、これから、そうなるのではないかと心配されている方も多いかもしれません。

ただ、これまでの経験から一つ言えることは、「何が起きても なんとかなる」ということです。それに、辛いことばかりかと申しますと、決してそうではありません。時には「いいこともある」のです。

そもそも、認知症の両親が2人きりでよくやっているなぁと我ながら感心するのですが、考えてみれば、彼らにできることは まだまだたくさん残っているのですね。

もちろん、我々のほうで「転ばぬ先の杖」をあちらこちらに張り巡らしているとはいえ、それらは特別なものではなく、要介護者の誰もが利用できる福祉サービスです。

それでも大なり小なり「事件」は毎日のように起きます。これからも、しばらくは続くでしょう。笑いあり、涙ありの壮大な「事件簿」になるかもしれません。