「どんな本が好きですか?」と聞かれたら、あなたなら何と答えるだろうか。相手が日本人なら困らない。好きな作家や作品の名前を挙げれば、わかってもらえる。
しかし、これが外国人となると意外と難しい。村上春樹くらい知名度があれば別だが、海外の人に日本人作家の名や著作を伝えても全くピンとこないからだ。
あれはロンドン駐在時代だったと思う。同僚と本の話になって、当然ながら「どんな本が好き?」という質問がとんできた。何と答えようか…やや困惑気味の私。
するとそのとき、彼は「フィクション?それともノンフィクション?」と「助け船」を出してくれたのである。
なるほど!詳細は措き、まずは大きく2つのカテゴリーに分け、そのどちらなのかを伝えればよいのか!それによって、彼が次に繰り出す質問も変わってくるというわけだ。
さすが英国人。Big Picture(大局)からdetails(具体)へ向かうその論理的な思考回路を垣間見たような気がした。
「私はノンフィクションが好き」と答える。「どんなジャンル?」「よく読むのは社会科学とか経済かなぁ」「あなたは?」・・・おかげで会話は楽しく、滞りなく続いた。