三流シェフ(三國清三 著)

三流シェフ(三國清三 著)

フレンチシェフである三國清三氏の自叙伝。「北海道の貧しい漁師の子」だった同氏が、フランスそして世界が認める一流シェフに登り詰める波乱万丈サクセスストーリーである。

どんなに劣悪な境遇にあっても夢に向かってひた走る。99パーセント不可能だと言われても、残る1パーセントの可能性を信じて、惜しみなくエネルギーを注ぐ。そんな雄姿にぐいぐいと引き込まれ、あっという間に読み終えた。

最終章で語られるエピソードは感動的だ。もうすぐ70歳というご年齢にもかかわらず、これまであたためてきた新たな計画に挑むという。

それも、苦節37年の歳月を経て築き上げた同氏のレストラン「オテル・ドゥ・ミクニ」を閉店して。「完成したものは、壊さなければ次の展開がない」と言い切る。やっぱり一流は違う。(幻冬舎)