『日本辺境論』(新潮新書)で内田先生の著作に初めて触れたのは20年以上前のこと。それ以来、先生の作品を端から読みあさってきた。
本著はその中でも繰り返し読んだ作品の一つ。先日ご紹介した『今日のミトロジー』(中沢新一著)が引き金になり、久しぶりに(同じ哲学モノを)読みたくなった。
先生の語り口は実に物腰柔らかく、例示も豊富でわかりやすい。だから読んでいて楽しい。なんとなくわかったような気になる。
でも、正直なところ、やはり私には「構造主義」とか「レヴィ=ストロース」と言われてもよくわからない。
ただ、そこで「や~めた」と放り出したくなる気持ちは微塵も生じないから不思議だ。逆にもう一度読んでみようというエネルギーが湧いてくる。
これは先生のお力によるものなのか、私自身が現代思想を理解したいという欲求に駆られているのか。
本著は長年手元に置いていたが、図書館でいつでも借りられるので、数年前に売却。今回再読しようと図書館で予約したら何と「3人待ち」。
ということは読めるのは早くてもひと月先になる…。待ちきれずに再び買った。(文春新書)