本書は「積水ハウス地面師詐欺事件」をモチーフにした小説。昨年、Netflixでドラマ化&配信もされている。
あの積水ハウスが「地面師」に55億円超もの大金をだまし取られたと報じられ、ずいぶん話題になっていたのは8年ほど前だろうか。
土地の所有者になりすまして売却をもちかけ代金をだまし取るという古典的な詐欺に、大手企業がコロッと引っ掛かってしまったという事実に驚いたことを覚えている。
地面師たちの「綿密な仕事ぶり」とは対照的に出世競争にかまけた一流企業戦士たちの「粗雑な仕事ぶり」が描かれているところが痛快だ。
この事件は今もって闇に包まれている部分も多いらしい―――事実は小説よりも奇なり。(集英社)