今年は喪中のお正月ですが、十通ほど年賀状をいただきました。その中に、グループホームで暮らす母からの賀状が。「おめでとうございます」と直筆の文字が書き添えてあります。
筆跡は弱々しく頼りない感じではありますが、まだ文字は書けるようで、少し安心しました。ヘルパーさんに助けられながら一生懸命書いたのでしょう。
認知症の母は、約1年前からグループホームにお世話になっています。同じく認知症の父の長期入院、逝去以後、在宅介護が難しくなったためです。
父の死を母には伝えていません。伝えても混乱を招くだけですし、既にあの頃の母は父の存在をほとんど認知できない状態でしたので…。
もちろん、それは私たちが母の言動をもとに勝手に判断しているにすぎません。本当は頭のどこかで何らかの形で記憶、認識しているのかも。
ただ、もしそうであるならなおのこと、母の中では父に生きていてもらったほうが良い。そう思ったからです。
長年連れ添い苦楽を共にした高齢者夫婦の人生最終章。私はそれを日々目の当たりにしています。これはたぶん親から子への最後のレッスン。
人は如何にして死んでゆくのかということを、両親は私に身をもって教えてくれているように思えます。