食品から化粧品へ(2)

食品から化粧品へ(2)

ある週末のこと。連日の残業続きで疲弊していた私は、出かけることもなく会社の独身寮でのんびり過ごしていました。

お昼過ぎ、新聞でも読もうと食堂に行き、食卓の上に無造作に置かれていた日本経済新聞を手に取りました。

すると、そこに化粧品メーカーの求人広告が!「○○○(←会社名)が、あなたの力を求めています」という見出しの下に、研究系、財務系、国際系の中途採用に関する案内が書かれています。

これぞまさに私が探し求めていたもの、素直に胸がときめきました。このメーカーは海外拠点も多く、グローバル化を加速中。もちろん努力と運次第ですが海外へ行ける確率が高そうです。

一方で、私が採用される確率は低そうです。なにせこのメーカーは売上も株価も自分が勤めている会社より何倍も大きい。「おそらく応募しても受からないだろう…」そう呟いて新聞をたたみました。

数日後、それでもなんとなくあの求人が気になり、あの日の新聞を食堂で探したのですが、あいにく寮母さんが処分してしまったとのこと。

そこで私は次の週末に近くの図書館へ行き、あの日の新聞を見つけて求人広告のコピーをとってきました。

何が自分をわざわざ図書館にまで行ってコピーを取るという行動に駆り立てたのか?今でも理由はよくわかりません。ただ、なぜか心がザワザワしたのは確かです。

それにしても人生は、まことに「ひょんなこと」から思わぬ展開をするものです。それから半年後、私は化粧品メーカーの社員として新たなスタートを切ることになりました。