なぜか残業が嫌いでした。「残業が好きな人など誰もいない!」とお叱りをうけそうですが、いざ社会人になって会社勤めをはじめてみれば、残業好きは結構いることに気が付きます。
本当に「好き」な人もいれば、お金を稼ぐために意図的にしている人もいます。「嫌い」だけど、仕事が遅いとか、業務の都合で仕方なくという人もいます。
残業していると、なんとなく精力的に仕事をしていると感じ、高揚感や充実感を覚える人もいるようです。
単に上司へのあてつけやアピールだったり、隣の部署とのつまらない残業合戦だったり(ウチの部のほうが重要な仕事がたくさんあるので忙しいというアピールですね)といったケースも。
一口に残業と言っても、その背後にはたぶん各人各様の事情や思いが詰まっているのでしょう。
私は残業が大嫌いでした。もちろん、状況によって残業は厭わないのですが、やはり面白くないのです。
特に20代の後半、私は月100時間残業当たり前の生活をしていたのですが、あの数年間でもう懲り懲り。実は(残業が多いからという理由ではありませんが)その後まもなく転職しました。
残業はサッカーで言えば、時間外にプレーしているようなものに思えるのです。試合終了の笛が鳴った後にいくらゴールを決めても、それは得点にはなりません。残業で出した成果も同じことです。
「いや、それなら残業はロスタイム中のプレーだ。会社が公式に働くことを認めているのだから。」という反論が返ってきそうです。
確かにそういう見方もできますが、ロスタイムはせいぜい長くても数分。90分の試合時間に匹敵するくらいのロスタイムなどあり得ません。
転職後、私はとにかく「心を鬼にして」さっさと退社するよう努めました。周囲から「残業しない人」というレーベルを貼ってもらうように頑張ったというわけです。
これはなかなか大変でした。残業もしない上に「仕事も出来ない人」というレーベルまで貼られたらおしまいですし…。でも、努力すれば誰にでも実行できると確信します。
なぜなら、残業する理由のかなりの部分は、仕事の出来、不出来といったことよりも「お先に失礼します」と言って職場を去る「勇気」があるかないかの問題だと思うからです。