欧州のダイナミズム

欧州のダイナミズム

フランスで5月23日、鉄道で2時間半以内の距離にある都市間の飛行機運行を禁止する法律が施行された。脱炭素化に向けたアクションとのこと。

もちろん、鉄道の運行頻度や、日帰りができることなどの条件付きでの話。現時点で対象になるのは、パリ・オルリー空港とボルドー、ナント、リヨンを結ぶ路線らしい。

当然、賛否両論があり、物議を醸していることだろう。実効性より、「やってる感」をみせようとするパフォーマンスだといった批判もあるそうだ。

しかし、そうしたことは脇に措いて、まずは率直に「凄い!」と思う。たとえシンボリックであっても実際の行動に移す迫力。政治のダイナミズムを感じる。

ドイツに駐在している間に私は欧州の通貨統合を経験したが、あのときも、欧州の政治のダイナミズムを肌で強く感じたことを思い出した。

各国が抱える様々な事情を一旦棚上げして、EUという共同体を立ち上げ、国境を取り払い、通貨を統合する。地球環境のために航空機の運航を制限する。ガソリン車の販売を禁止する。

成熟した国民と有能な政治家無くしては創出し得ない欧州のダイナミズムは、いつの時代にも消えることはないのだろう。