姨捨駅(1)

姨捨駅(1)

春に続き、この夏も青春18切符を買った。自動券売機で購入できるのが有難い。「青春…下さい」とみどりの窓口で注文するのは少し気後れするだろうから。

早速、上信越方面へ各駅停車の旅に出かけた。最初の目的地は姨捨(おばすて)、長野と松本を結ぶJR篠ノ井線の途中にある無人駅だ。

駅名(地名)がユニークなうえ、スイッチバック式の駅であることから、前から訪れてみたいと思っていた。

駅から見下ろす善光寺平の眺望は「日本三大車窓」の一つ。但し、残りの二つ―根室本線(新内駅)・肥薩線(矢岳駅)—は、いずれも既に廃線。

酷暑の続く先週の金曜日。中央線と篠ノ井線を乗り継ぐこと6時間、念願の姨捨駅に到着。降車したのは私を含めたったの4人だった。

暑い。標高が高いはずだが、この暑さとは…。屋根のないプラットホームに日差しが容赦なく照りつけるものの、目の前に広がる美しい棚田が心と疲れを癒してくれる。

昭和9年に建てられたという小さな駅舎は大正時代の様式とのこと。駅前には飲料の自動販売機1台と周辺の案内図があるだけだ。(つづく)