五十にして川柳を詠む(1月)

五十にして川柳を詠む(1月)

人生の大きな節目の歳といえば五十路。私もこの歳に、長年勤めた消費財メーカーから医療・福祉業界へ転職という大きな方向転換をしました。

また、「五十にして天命を知る」になぞらえ「五十にして川柳を詠む」ことに挑戦、元旦から一日一句を一年間、ノートに書き連ねてゆきました。

川柳といっても特に勉強したこともありませんので、ただ即興で気の赴くままに5・7・5の17文字を綴っただけのこと。日記みたいなものです。

さて、数年の時を経たいま、あらためて読み返してみるとなかなか面白い。17文字とは言え自分の事ですから当時の記憶がすぐに蘇ってきます。

元旦に<初日から一日一句がままならぬ>と、いきなり音を上げています。とりあえず三日坊主は免れたようで、4日には<休み明け体重計にそっと乗り>と食べすぎの報告。

仕事始めの5日は<俺だけか5時に仕事を店じまい>ということで、相変わらずの残業嫌い、さっさと定時退社したことが記録されていました。

それでも仕事はなかなか大変だったようで<報告のための報告報告し>とか、<明日休み在宅勤務本当は>とコロナ前から既に「在宅勤務」を実践。

ところで、自分で創作してみますと、その道の著名な方々の作品がいかにレベルが高いかよくわかります。つまり、作ることの難しさと自分の下手さ加減を痛感するわけです。

6日の新聞コラムに次の句が紹介されていました。

<寒風へ頭を槍にして進む>(小沢昭一)

感銘を受けました。素晴らしい。冷たい向かい風のなか、コートの襟を立てて歩む人物の姿がありありと目に浮かびます。

私も負けじと <子供らの笑顔に勝る(さち)はなし>と自分を癒しつつ、<今年こそ(よろい)脱ぎます転職で>と決意を新たにしたのでした。