人は自分の記憶を都合よく上書きする。特に自身の功績といった(要するに自慢話のネタになるような)記憶は、「1」の事実を「10」に美化し、他人には「100」だったと語る。
「この商品を3カ月で700個売った」が、期間を短縮、個数は水増しして上書きし、後日「たしかあの時は1か月で1000個売った」と。一方で、都合の悪い記憶は削除する。
中学時代の成績のこと。娘に「”2”とか”1”はとった覚えがないなぁ」と言い切ったものの、念のため昔の通信簿を納戸の奥から引っ張り出してみた。
すると、なんと中学3年生の1学期にしっかり「2」をいただいている科目が!高校受験直前の「2」はそれなりにインパクトがあったはずだが、今では記憶のかけらもない。
ついでに小学校、高校~大学の成績表も見返してみる。いずれも自分が思っていたよりずいぶん低いという動かし難い事実が目の前に突き付けられた。
いつのまにか記憶を無意識のうちに都合よく水増しして上書き保存していたというわけだ。