自衛隊嫌いの私が、なぜ防衛大学校に好奇の目を向けたのか?それは、自衛隊の何たるかを知りたかったからです。
自衛隊のことを何も知らないのに毛嫌いしているのはズルい気がする。何も知らないなら批判する資格すらないだろうと。
それに、自衛隊の中に居れば、もし自衛隊を好きになれなかったら、中から自衛隊を壊してしまえばよい!外より、中からのほうが壊せる可能性が高いとまで考えていました。
若気の至りで突拍子もない発想。その背景には、子供の頃TVで楽しくみていた、「侍ジャイアンツ」という野球アニメの影響がありました。
主人公はジャイアンツのピッチャーになる型破りな自称サムライの高校生“番場蛮(ばんばばん)”。彼の父は漁師なのですが、蛮が「おれのオヤジは、小船でたった一人海に出て鯨を捕った」と語る回想シーンがあります。
その父は公園のボートみたいな小舟にのり、片手にモリ一本といういでたち。強面の頑固オヤジによる現実離れした単独捕鯨の雄姿が描かれています。
では一体全体どうやってあの大きな鯨を捕るのか?それは何と、船ごと鯨に丸のみされ、鯨の体内からモリで内蔵を突くというのです。
幼心にこのスゴイ話をインプットされた私は、自衛隊のような巨大組織を壊すなら、番場蛮の父のようにまず組織の中に飲み込まれるべしと思っていたのです。
今思い返しますと、半ば本気でこんなことを考えていた若き日の自分に笑ってしまいますけれど。(つづく)