風立ちぬ

風立ちぬ

『風立ちぬ』(宮崎駿 監督)を見た。息子がネットで見つけたというので、大画面TVのある彼の住まいへ押しかける。

宮崎監督の作品は大好きだ。あの世界観には何度浸かっても心地よい。「深いテーマを、余白や行間をたっぷりとって」見せてくれる。

派手なストーリー展開はなく、登場人物の台詞も少なめ。物語は淡々と進み、気づけばいつのまにか自分がスクリーンの中に吸い込まれているような感覚になる。

思えば最初に「宮崎ワールド」に触れたのは『未来少年コナン』というNHKのアニメ番組。まだ中学生だった私は毎回欠かさず見ていた。もちろん、その後の主要な作品も。

『風立ちぬ』は今からちょうど10年前に公開された作品。零戦の設計者である堀越二郎の半生と堀辰雄の同名小説が織りなす、関東大震災から終戦までの物語だ。

結核で余命いくばくもない妻と、残された時間を共に生きる堀越。医者になった彼の妹から「山の病院へ戻るのは無理なの?」と問われ、「うん。僕らは今、一日一日をとても大切に生きているんだよ」と答えるシーンは心を揺さぶる。

ユーミンの『ひこうき雲』と共に流れるエンドロールも素敵だった。