かぎっ子

かぎっ子

私が幼少の頃は「かぎっ子」がまだ少数派だったが、共働きが主流の今は「かぎっ子」が当たり前。

さて、そんな現代の「かぎっ子」たちだが、勤務するマンションでも「かぎがなくて、入れないんですけど…」と管理室に来ることがある。

先日も小3の女子が困った表情でやって来た。どうやら一旦帰宅したが、ランドセルに付けたかぎをそのままにして、つまり、かぎを持たずに公園に遊びに出てしまったらしい。

「おうちの人は誰も来ないの?」「SECOMに連絡して開けてもらおうか?」と尋ねたら「もうすぐ、お兄ちゃんが帰って来るから待ってる」と。

「わかった、じゃぁロビーの椅子にすわって待ってようか」と私。ただ、彼女は手ぶら。いくら子供でも手持無沙汰だろう。でも、本も玩具もない。とっさにメモ用紙とペンを渡した。

「じゃぁこれで絵でも書いて待っててね」。こわばっていた彼女の表情がようやく緩んだ。それから数分後、無事お兄ちゃんが帰宅した。