会社で取締役会に提案するという機会を何度かいただきました。国際部門が長かったせいもあり、何かと新規案件やら投資金額の張るプロジェクトが多かった為です。
一介の中間管理職にとっては貴重な機会だったのですが、とにかく物凄い労力が必要でした。資料作成や関連部門への根回しにどれほどの手間と時間を費やしたことか…。
さて、こうした経営トップへの提案で必ずといって出てくるキーワードが「わかりやすさ」です。
資料の見た目のみならず、その内容についても、それがどんなに複雑な内容でも「わかりやすく」なければなりません。
「これ、わかりやすいね」は誉め言葉。関連部門に根回しに行けば、打合せに出席する誰もが「わかりやすさ」に飢えていました。
しかし、複雑な内容を「わかりやすく」するにも限界というものがあります。では、どうするか。
ややこしい部分をどんどん端折ります。すると、当たり前ですが内容は「わかりやすく」なりますが、ときに肝心な部分も覆い隠してしまう。
正直、こんなやり方でよいのかなぁと思ったこともありました。でも、どんなに詳細を突き詰めたところで、所詮やってみなければわかりませんから、これで良いのです。
ややこしいロジックよりも経験・直感のほうが優れているなんてことは、ビジネスの世界でもよくあること。漁師さんの天気予報が、気象庁のそれに引けを取らないのと同じですね。