数か月前から近所でマンション建設がはじまりました。敷地の大きさからみて20戸程度の規模ではないかと。ちょうどバルコニーから見ますとほぼ正面、わずか20メートルほど先のところです。
このところ工事が本格化したようで、現場を覆う足場やシートが日に日に高くなってきます。それとともに騒音も激しさを増している。
梅雨寒が続いていた時分は窓を閉め切っていましたので、あまり気になりませんでした。しかし、今はもう窓を開けざるを得ませんので、容赦なく音が運ばれてきます。
穴を開けるドリルの音、ハンマーを打ち付つける音、資材を吊り上げるクレーンの音、作業をする人々の掛け声。
窓を閉めてエアコンをつけようか…でも、省エネがこれまで以上に叫ばれているご時世。結局エアコンは我慢して、騒音とともに届く風で涼をとっている次第です。
新緑の窓いっぱいに降る雨の雨音までも緑に濡れて
諸井末男/読売歌壇より
「モノではなくオトというところが面白く、圧倒感が伝わってくる」と選者の俵万智さんが評していました。すべてのモノが緑に染まるように感じさせる新緑は、オトまで染めんばかりの勢いだと。
美しい緑に染まった音とは、いったいどんな音なのだろう。この歌を読んでいろいろと想像をめぐらしていたら、なんだか楽しくなってきました。
すると、まるでこちらの事情を察してくれたかのように工事の音がぱったり止みました。
時計の針は午後3時、たまたま運よく休憩時間に当たったのか?
「音色」という言葉がありますが、考えてみれば「赤い音」とか、「緑の音」といった表現には出合ったことがありません。音に色をつけるというのはなかなか面白いかも。
そんなことを考えているうちに休憩時間が終わったようです。工事の音が再び耳元に届き始めました。この音はさしずめ灰褐色といったところでしょうか。