たかが上司 されど上司

たかが上司 されど上司

サラリーマンなら誰しも「上司」を肴にお酒を飲んでストレスを発散したことがあると思います。お決まりの「課長は現場をわかってないんだよなぁ」から「部長はあの店で担々麺しか注文しないよ」といった昼食の行動まで、なんだかんだと集めた情報を仲間と共有しては面白おかしく語り合う。

やがて立場もかわりますので、こんどは「肴にされる」身にもなります。管理職というカテゴリーに鞍替えとなり、上司と呼ばれる。そこで改めて「部下というものは上司の一挙手一投足を実によく観察しているものだ」と思い知らされます。

私もそうでした。酒の席で、自分の口癖を部下たちが面白がって私に教えてくれます。モノマネまでしてくれました。きっと何かあだ名もついていたのでは?と思いますが、さすがにそこまでは自分の耳には届かなかったですけれど。

そして、よきにつけ悪しきにつけ、まるで飼い犬が飼い主に似るかのように、部下の立ち居振る舞いが上司のそれに似てくるように感じます。言動や立ち居振る舞いをいつも観察していますので、知らず知らずのうちに、それが身体に染みついてくるのでしょう。

それもそのはず、部下にしてみれば、わが人生の首根っこをつかんでいるのが上司なのですから。部下は無意識のうちに上司をしっかり観察し、上手く付き合ってゆくための努力をします。

そう言えば国会中継で議員さんの答弁を聞いていると「(所属する党の)党首とよく似た話し方をする」なぁと感じることが時々ありますが、きっと同じことが起きているのかもしれません。

実は私も上司の話し方に影響されたクチです。気づいたら口調が上司のそれとソックリになっている。でも、いつの間にか他人に似てくるというのは、なんだか「染まりやすく、主体性が無い」感じで、あまり良い気がしませんでした。

そこで、できるだけ上司に染まらない様に努めたつもりでしたが、残念ながら無駄な抵抗に終わりました。上司が変わるたびに、前上司のデータは新上司のデータに「上書き保存」されてゆきます。

上司が部下に与える影響というものは実に大きいとつくづく思います。考えてみれば、どんなに出世して偉くなっても、組織のトップにならない限り、あなたにはいつまでも上司がいる。

ですから上司に恵まれるか否かは、あなたの会社人生を大きく左右するでしょう。でも、あまり心配しなくても大丈夫。どんな上司も、必ず「教師」か「反面教師」のいずれかになり、それはやがて あなたの「血」となり「肉」となりますから。