ものがわかるということ(養老孟司 著)

ものがわかるということ(養老孟司 著)

本書は令和5年に出版された比較的新しいものだが、中身はこれまで養老先生が他の作品で語ってきた内容を「わかるとはどういうことなのか」という視点でまとめたという印象だ。

世界をわかろうとする努力を続けながら、80余年の人生を歩んでこられた先生だが「結局はわからなかった」という結論に至ったとおっしゃるから面白い。

むしろ「わからないほうがいい」と。ただし、「わかろうとする努力は大切である」と。

本欄で先生の作品を取り上げるのは3度目。内田樹氏が「人は自分の好きな本ばかり読むもの」と書いていたが、自分も例外ではないようだ。(祥伝社)