本著はZ世代の息子からの推薦図書。インドを訪れた友人に薦められて読んだそうだ。今から30年前の1993年に発表され、翌年、毎日芸術賞を受賞した作品。
遠藤周作は昔よく母に薦められて読んだ。「海と毒薬」や短編のユーモア小説等々。あいにくそれらの内容は、年月の経過とともにすっかり頭の中から消え去ってしまった。
しかし、狐狸庵先生と呼ばれていた著者の醸し出す、ちょっと浮世離れした感じの独特な雰囲気は今でもよく覚えている。
「深い河」とはガンジス河のこと。
登場人物たちは、それぞれの人生を歩み、歳を重ね、喪失感を抱え、それぞれが失ったものを探し求めて、日本からインドへ旅する。ヒンズー教の聖地で彼らが目にするものは…。
本著を読み進むにつれて、宗教とは何か、正義とは何なのか、神は存在するのか、一体何を信じればよいのか…など、今まであまり使ってこなかった脳の部位が大いに刺激を受けたように感じた。(講談社文庫)