これは実話をもとにした絵本です。難病で視力を失った和歌山市職員の方が10年以上にわたり、地元の小学生に助けられながらバス通勤を続けたというお話。
ひとりの女の子が始めた親切が、その子が学校を卒業した後も、後輩に引き継がれていったという事実に心が打たれます。
いまどきの若者は…とか、まったくいまの子供は…などとついついぼやきがちですが、この物語を読むと大きな希望がわいてきます。少し大げさですがニッポンの将来は明るいと。
「小ささ親切大きなお世話」などとも言いますが、一方で「小さな親切大きな支え」だって、「小さな親切大きな感動」だってあるわけです。
私も出勤時には毎朝、白杖を持った中年の男女をお見かけします。ご夫婦か、あるいはご兄妹か。荻窪駅まで女性を送り届けているのです。
幸いお二人がお困りの様子に遭遇したことはありませんが、今後、もしそのような事態に遭遇したら、和歌山の小学生を見習って、声をかけたいと思います。(アリス館)