会社の仕事でいつも求められていたのは「二律背反の追求」です。きっとどこの会社でも同じでしょう。
例えば「品質向上とコスト削減」を同時に求められたり、欠品率と在庫率を共に減らせと言われたり。
そもそも実現不可能だから二律背反なのですから、その実現を求めるのは論理破綻した要求なのですが、そこは「実現せよ」ではなく「追求せよ」なのだと諭されます。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」ではないのかと反論したくもなるのですが、やがて「二兎を追う」日々は過ぎ去り、今度は自分が上の立場で同じことを説いてきました。
これは要するに「追求」せよとは「中庸を行け」ということなのであります。「二兎」に猛進する必要はないけれど、「一兎も得ず」は回避する絶妙な着地点を見いだせということ。
考えてみれば日常生活でも「安くて美味しい店」を探すなんてことを一生懸命やっていますが、それと全く同じことなのではないかと思います。