先日の昼下がり。荻窪駅に向かって商店街を歩いていた。私の前を行くのはデニムにダウンジャケットを着た中年女性。私とほぼ同じ速さで歩いている。
しばらくすると、彼女が突然小走りに数歩進み、突然しゃがんだ。何のことはない、靴紐がほどけたので結んでいるのだ。
そのわずか数秒の光景に私は思わず微笑んでしまった。彼女は独りで歩いているから、何も急いで前に出ずとも、気づいたその場でしゃがんで結び直せばいいのに…。
でも、きっと無意識に足が動き出してしまったのだろう。周りを歩く人々のペースを乱したくないという気持ちが自然に起動する。その感覚、よくわかる。