英語のタイトルは”How our bodies shape our minds” つまり「私たちの身体はどのようにして私たちの心を形作るか」について論じた本。
「身体化された認知」分野の先駆者であるデニス・プロフィット(バージニア大学名誉教授)とドレイク・ベアー(著述家)による共著である。
自分が今見ている世界は本当に他の人にも同じようにみえているのだろうか?誰しもそんな疑問を抱いたことが一度や二度はあるだろう。
本書はそんな疑問に数々の研究成果を引いて答える。「友人一緒だと、坂の勾配がゆるやかに見える」「糖分を摂取すると、物までの距離を短く見積もる」といったことが人間の認知には起きるのだと。
さらに踏み込んで結論に迫るならば「身体の五感(知覚)は、客観的に正確な情報を脳に伝えているのではなく、生存の確率を上げるような形で情報を上げている」という。
あなたは世界を見ているのではない。「あなたが見る世界」を見ているのだ。
知的好奇心が大いにくすぐられる280ページ、一気に読み切った。(白揚社)