先日、荻窪ルミネにある八重洲ブックセンターの文庫コーナーにあった1冊の本が目にとまった。帯に大きな字で「逃げなさい」と書いてあるのだが、逃げずに手に取った。
タイトルは『逃避の名言集（山口路子著/だいわ文庫）』で、作家や芸術家らが何からいかにして逃げたのかを名言集という形でまとめたものだ。
否定的に考えられがちな「逃げる」という行動を、生きてゆくうえで必要なことであると肯定的に捉えている点で大いに共感できる名言の数々が収められていた。
しかし、私は、なぜかこうしたオムニバス的な本というのは、買ってまで読もうという気持ちにならない。でも、立ち読みでは少しものたりない。
こんな時は図書館が重宝する。さっそく調べたら残念ながら文庫版は蔵書になかったが、単行本（2013年初版）があったので借りた。
初版のタイトルは『特に深刻な事情があるわけではないけれど私にはどうしても逃避が必要なのです』とライトノベル顔負けの長さ。
これはいくら何でも長すぎて、読者が本当に逃げてしまったのでは？ちなみに文庫版では、この文言が副題として生き残っていた。