心理学をつくった実験30(大芦治 著)

心理学をつくった実験30(大芦治 著)

心理学といえば様々な学問の中で最も気になるもののひとつだった。影も形も無い、しかし確実に存在する人間の「心」を扱うのだから、好奇心が刺激されるのも当然だ。

これが哲学になると、かなり抽象的、概念的で、ちょっと掴みどころがない感じだけれども、心理学であれば、もう少し具体的、日常的であるから自然と興味も湧いてくる。

とは言うものの、私がこの学問について知っている事と言えば「パヴロフの犬」くらい。あとは、雑誌やネットなどに溢れる「○○心理テスト」といった類のお遊び程度だった。

つまり、心理学について実は何も知らないというのが正直なところだ。しかし、今回、本書を読んで、心理学の進歩、発展の軌跡を大まかに掴むことができた。

著者は、「パヴロフの犬」をはじめ著名な実験の具体を系統立てて読者に示すことで、心理学のいわばプロフィールを、初心者にも理解できるよう、わかりやすく描き出している。

「心」とは一体何なのか?先人達の格闘の歴史を楽しく学べる一冊だ。(ちくま新書)