久しぶりにメールが届いた。ロンドン駐在時代の「戦友」からだ。我が人生のメンターでもある彼は、国籍が英国でケニア出身のインド人、と少しややこしい。
その当時、私は英国法人の社長、彼は管理部長として人員整理解雇を含む大きなリストラを実行した。我々以外に関わったのは現地のイギリス人弁護士1人だけ。
かれこれ20年も前の話だが、今思うと、よくたった3人で100名規模の事業所から20数名もの人員解雇をやり遂げたものだ。
このときの経験は壮絶で、私にとって人生のターニングポイントになったし、その後の生き方にも大きな影響を与えた。
ロンドンを離れてからこれまでの間、彼とは東京とロンドンでそれぞれ一度会って食事をした。メールでも定期的に交信していたが、コロナで音信が途絶えていた。
彼もセミリタイアし、3人のお孫さんにも恵まれ、平穏な日々をすごしているそうだ。ただ、兄弟や親戚、友人らがコロナで他界したと書かれていた。
たのしみは 書(ふみ)よみ倦(う)める をりしもあれ
声(こゑ)知る人の 門(かど)たたく時
独楽吟/橘曙覧
友と呼べる人が少ない私にとって、「門たたく」音は心を和ませてくれる。