この連載も12日目になりましたので、最後に今日と明日で「なぜ半年で辞めたのか」を述べて、一旦ひと区切りとします。
同期に脱走者が出たり、射撃訓練でひどい成績をとってしまったりと、エピソードを語り始めたらきりがないのですが、それらはまた折にふれて書いてみたいと思います。
さて、私のように防大を退校する学生は毎年一定数います。4月に着校して1週間もしないうちに去ってゆく者もいますが、最初の波がくるのは夏休み明けの9月、つまり私が辞めたタイミングです。
4月から7月までは日常生活、勉学、訓練と目まぐるしく過ぎ、8月の夏季休暇でようやく小休止の帰省。
そのひと月で一旦「社会復帰」し、家族や友人と会ったりしながら、今後の自分の人生のことなどいろいろと考えてしまうわけです。
このまま防大で学び続けるべきか否かという大いなる迷いを胸に抱えつつも、私は予定通り8月末に再び実家を後にして学校に戻りました。
2学期からは小隊の編成が少し変わりました。要するにクラス替えです。室長や同居するメンバーの顔ぶれも変わります。
一方、私の「迷い」は防大に戻ってから数日で「決意」に変わり、9月早々に新たな室長に退校の意志を伝えました。
なぜ辞めようと思ったのか。それは、この先の自分の人生があまりにもハッキリ見通せてしまうと感じだからです。
自分は10年後に小隊指導官のようになり、15年後は中隊指導官、25年後は大隊指導官のようになるんだなぁと。
この先の進路は全て決められていて、自分は敷かれたレールの上をひた走るだけ…。そんなふうに思えたからなのです。(つづく)