防大は「つわもの揃い」なのでどの体育会でも「強豪校」なのでは?と思っていました。ところが、予想は大きく外れました。むしろ一般大学より弱い。
それは何故かと申しますと、練習する時間が少ないから。勉強はサボれないうえに、訓練などに多くの時間を割かねばならず、ちっとも練習できないのです。
空手や少林寺拳法といった個人種目は、たまたま才能に恵まれた人が上位に勝ち上がることもあるのですが、バスケやバレーボール、サッカーなどの団体競技は全くダメでした。
それに、女子がいない(今は女子学生もいますが、当時は男子のみ)のも士気にかかわる由々しき問題でした。
さて、クラブ活動が終わると1年生は直ちに夕方の清掃に向かいます。朝と同様に時間との勝負がはじまります。
掃除、入浴、そして夕食。「風呂・飯(メシ)10分」と先輩から教えられましたが、夕方も掃除のせいで、とにかく忙しいのです。
風呂にゆっくり浸かるなど夢のまた夢。脱衣所で脱いだ服を籠にいれますが、その服をきちんと畳んで入れておかないと、憂き目に遭います。
私も一度あったのですが、「カラスの行水」を済ませて脱衣所に戻ると、籠に「整頓不良カード(このカードを受け取ったものは〇〇時に週番室まで参上せよ)」という紙が入っていました。
これは、脱衣場をチェックしている4年生の週番がいまして、脱いだ服をきちんと畳まない1年生を見つけたらこのカードで呼びつけて説教と腕立て伏せをさせるというシステムなのです。(つづく)