11月のドイツ

11月のドイツ

ドイツで暮らしていて最も辛かったことの一つが、暗くて長い冬。緯度が東京よりも高く、樺太(サハリン)と同じくらいですから、冬場の日照時間がとても短いのです。

日の出は最も遅い時期で午前8時半、日の入りは午後4時半。つまり、朝まだ暗いうちに出勤すると、あれよあれよという間に日は傾きはじめ、終業時に外はすっかり暗闇という世界です。

現地のスタッフがよく「11月がいちばんしんどいね~」と言っていました。自殺者も11月が一番多いという話も。ドイツ人でもしんどいなら、東京で晴天の続く冬に「甘やかされていた」わが身にこたえるのは無理もない話です。

12月はクリスマスマーケット、1月はニューイヤー、2月はカーニバルということで、それなりに楽しみを見出せますが、11月は特に大きなイベントもなく、心にまですきま風が吹きよせてくるような感じでした。

私はデュッセルドルフに住んでいましたが、たしか「11月11日11時11分に(翌年2月に行われる)カーニバルの精霊が目を覚まして、カーニバルの開始を宣言する」イベントがあったくらいでしょう。

しかも、当時は「閉店法」という法律があって、商店は午後6時で店じまい。但し木曜日だけは午後8時半まで営業可、土曜日は午後2時まで、日曜日は終日閉店という状況です。

日本では高齢者の「買い物難民」が話題になりますが、当時のドイツでは皆が「買い物難民」でした。幸い、飲食店はもう少し長く営業することが許されていましたけれど。

あれから20年以上もたち、その間に閉店法も改正、世の中も大きく変わりましたので、当時ほど寂しい11月はもう過去の遺物になったことと思います。

さて、東京の冬もそれなりに辛いのですが、晴天が多いのは大いなる救いです。ドイツの冬を越す度に、太陽が人にとっていかに大切なものかを、それこそ肌で感じました。

日光を浴びない日が続くと、知らず知らずのうちに、なんとなく気持ちが落ち込んでゆくのがわかります。

ところで、これは気のせいかもしれませんが、ドイツの生活が長くなるにつれて、自分の黒目が茶色っぽくなってきました。日に当たる時間が少ないので、メラニンが後退?もし、あともう10年いたら青い目になっていたのかも!?