A面とB面

A面とB面

レコード盤がほぼ姿を消してしまったいまでもA面、B面という表現はよく耳にします。

私はレコード盤を知る世代ですから、Aは仕事、Bはプライベートという意味でふだんからよく使っています。ただ、ときどき若い世代の方々とお話していると、それはどういう意味ですかと聞かれることも。

最近よく聞く「ライフ&ワークバランス」という言葉をこれになぞらえれば、「A面とB面のバランス」と言い換えることができますね。

仕事ばかりしていてもだめだし、遊んでばかりでもだめ。A面とB面のバランスをうまくとりましょうということです。

ある時、同僚の女性から「最近B面が充実しないのですが、どうしたらよいと思いますか?」と相談を受けたことがあります。

A面の悩み、つまり仕事上の悩みについて相談を受けることはよくあるのですが、B面の相談というのはあまり受けたことがなく、私は少し戸惑ってしまいました。

もう少し具体的に聞いてみると、「友達と飲みにいっても、なんだか以前のように楽しめない」「ヨガ教室に行ってもリラックスできない」とのこと。

その人は私より少し若いのですが、まぁほぼ同世代です。したがって、ものの考え方や価値観などは似たり寄ったりのところがあります。また、机は私の隣だったので仕事ぶりなどもなんとなくわかっていました。

それらを踏まえつつ、ひと通り話を聞き終え、私はピンときました。「B面が充実していないのは、きっとA面が充実していないからですよ。」

忙しいからこそ休暇が貴い、束縛されているからこそ解放感が味わえる、そういうものですね。このことは、たぶん多くの人が経験されていることと思います。

仕事がうまくいっていなければ、遊びにいっても楽しくないです。だからといって、遊ぶなということではありません。もちろん、気分転換は必要ですから。

でも、もしB面を充実させたいなら、B面のコンテンツにばかりに気をとられるのではなく、A面の充実にも目を向けたほうがよい。そのほうが近道ということもあります。

しばしA面の充実に取り組んでみる。そのことで、結果的にB面の問題が解決することがあるというわけです。

逆にB面の充実を図ることでA面の問題が解決することもあります。先ほど申し上げた気分転換に旅行をするといったことなどはその一例ですね。

レコード盤と同じように、仕事もプライベートも表裏一体なのです。