五十にして川柳を詠む(9月)

五十にして川柳を詠む(9月)

先週の「五十にして川柳を詠む(8月)」に続き、今日は同年「9月」の作品を振り返ってみたいと思います。

新生活「6か月目」に入り、少しだけ過去を振り返る気持ちのゆとりも出てきました。<時を経て記憶の苦み甘くなり> 時間の経過が過去の苦痛を和らげてくれます。

あいかわらず職場での人の問題には苦戦の日々。<怒るまいかつての自分この程度>仕事がデキないスタッフへの憤りをなんとか抑えるなか、上旬には秋雨前線も長く居すわり<夏過ぎて空も仕事も晴れ間なく>といった状況でした。

それでもライフワークバランスに関しては<残業と残暑なき秋静々と> <ありふれた日常今日もありがとう>といった具合。前職に比べればだいぶ落ち着いた生活になりました。

但し、収入面では当然ながら厳しくなります。給与明細を手に<額(がく)見つめどこか寂しき給料日>。

中旬に入っても雨が続き傘も休む暇がありません<雨続き傘にも疲れ見えかくれ>、<週末だ雨よそろそろ去ってくれ>。

下旬になってようやく秋らしい気持ちのよい日和に。<雲晴れてセミとコウロギ合奏し><秋の空芝に寝ころび深呼吸>。

大企業から中小企業へ、グローバルビジネスからローカルビジネスへ。仕事で使う移動手段は航空機から電車・バスになりました。

自ら選んだ道とはいえ、「本当にこれでよかったのだろうか…」という思いはぬぐい切れません。それでもようやく、<プライドを半年かけて処分せり>ということで気持ちの整理がついてきました。

しかし、本当はまだこの時点では「処分」しきれていませんでした。川柳にすることで何とか自分を納得させようとしていたのです。

良い意味でプライドを捨てることの難しさを切々と感じつつ、<午後八時妻の料理に癒されて>秋夜の帳はおりてゆきました。