音訳ボランティアを始めてから、日本語のアクセントを意識するようになった。音訳は標準語アクセントで読むルールになっているからだ。
東京生まれの私は幸い“いつもの発音”で済むが、地方出身メンバーは「何かと苦労が多い」とこぼす。
正しい発音を知らない単語は多い。出くわすたびに「NHK日本語発音アクセント辞典」で調べる。校正で指摘されて初めて気づく場合もたくさんある。
今までずっと誤ったアクセントで発音していたことを知り驚いたことも。自分は正しいと思い込んでいた発音が実は間違いだったというケースだ。
例えば「行政」。私は今までずっと「頭高」でギョにアクセントを置き、セ―を下げて発音していた。「フジサン(富士山)」と同じ読み方だ。
しかしこれは誤り。正しくは「平板」と呼ばれるフラットな発音。「サクラ(桜)」と同じ読み方なのだ。
さる日曜日。NHKの「日曜討論」という番組で、河野デジタル相と専門家がマイナ問題をめぐって議論していた。
大臣も識者も「行政」という言葉を終始誤った発音、つまり「頭高」にして口角泡を飛ばしていたのが気になった。