退職金をもらった頃のこと。銀行から「退職金限定」で高金利の定期預金の売り込みが多くあった。今もこの種の商品は「退職金専用預金」などと称して売られている。
当時の金利は1%前後、期間は3カ月。投資信託も合わせて購入すると更に金利が優遇されるオプションも。尚、預入時には退職金であることを証明する書類の添付が必要だ。
銀行は退職金をテコに、自らのリスクはヘッジしつつ、顧客にはリスクを取らせて手数料を稼ごうとさまざまな仕掛けを用意していた。
私は銀行の窓口に行き、リスク商品のお誘いは全てお断りし、3カ月定期預金のみを開設。満期になったら、こんどは別の銀行に行って同種の定期預金に預けた。
つまり、高金利を求めて「渡り鳥」みたいに銀行を渡り歩いたのだ。しかし、元手が小さいから利息も小さく、増えたのは休眠状態の口座ばかりだった。
そこで今月から口座の解約に着手。ところが、これがなかなか面倒だ。印鑑が違う、本人確認の書類が不備だ、等々、書類がいったりきたり。
契約ならともかく、解約でもここまで厳正な審査が必要なのかとぼやきたくなる。もちろん、ハンコを間違えた自分がわるいのだが。