中古車販売大手のビッグモーターが世間を騒がしている。令和の時代に、ドライバーやゴルフボールで車を故意に傷つけ保険金を水増し請求するという子供じみた手口にも驚く。
更に愕然とするのは査定する側の損保社員がビッグモーターに出向していたことだ。これでは、損保もグルなのではと疑いの目を向けられても仕方ない。
「損保の査定はいい加減なもんだなぁ…」。当時、社会人3年目だった私は、食品会社の購買部門で食品缶詰の輸入業務を担当していたときに、そう感じたことがある。
海外から船便で届く缶詰には一定量の不良品が入っている。輸送途上で破損してしまうものもある。
従って、荷物にはもちろん保険を掛けてあり、港に着くと全数検品し、不良品の数を毎月まとめて損保会社へ保険求償する。
その手続きは電話1本。「今月の不良は●個でした。あとはヨロシク」と損保担当者に告げるだけだ。現場や現物のチェックなどは一切ない。
こうした甘い査定は顧客サービスの一環だったわけである。この悪しき伝統は、昭和から平成、そして令和の今でも脈々と受け継がれているのかもしれない。