歌人である穂村さんのエッセイ集。本著は北海道新聞で連載中の「迷子手帳」を中心にまとめられた作品だ。
さすが!歌を読む人は文章を書いても、そこにリズムがあると感じた。なにげない日常の1コマを見事に切り取りリズミカルな文章に乗せる技巧はまさに短歌の延長線上にある。
穂村さんは私より2歳年上だから、ほぼ同世代と言ってよいだろう。何かと悪者扱いされる昭和を懐かしく振り返りつつ、平成そして令和を生きてきた。書かれている一言一句に共感しっ放しだった。
本の装丁もちょっと素敵で、「手帳」のように角丸(かどまる)になっている。(講談社)