先日の『人生案内』にあった30代前半の独身女性からの相談。「自分に何の価値があるのかわからないし、皆は何のため生きているのか?」という難しい問いかけだった。
これに対して回答者の小川仁志(哲学者)さんが「ルーマニアの哲学者シオランの考えを参考にしてみてはいかがでしょうか」とアドバイスしている。「シオランは、人生に意味などないといいます…」と続く。
シオランの存在はもちろん、その思想についても全く知らなかった私だが、ずいぶん開き直ったこの考え方にどこか心が惹かれ、入門書を探す中で本書に辿り着いた。
大谷崇氏は気鋭のシオラン研究者。最強のペシミスト、エミール・シオランの思想をより多くの人に知ってもらいたいと本書を執筆したそうだ。
シオランの「清々しいほどに暗い言葉の数々」は、不思議な魔力をもって迫ってくる。(星海社新書)