その日は朝からK先輩がイライラしていました。彼女はA課長のアシスタント業務も担うベテラン。どうやら課長の担当地区でトラブルが起き、その対処に追われているらしい。
あいにくA課長は海外出張中。時差もあって連絡がつかない。A課長の上司であるT次長が「Kさん、大丈夫？」と声をかけています。
当時の私は駆け出しの下っ端の担当者。なにかお手伝いしましょうか？などと申し出る立場でもなし。それに、仕事が出来るKさんのこと、すぐに片付けてしまうだろうと傍観を決め込む。
次長の心配をよそにKさんはオフィスの中を忙しく駆け回わる。やがて予想に違わず、問題は解決、K先輩に笑顔が戻りました。
彼女は自分の席に戻ると一言、「いつもAさんが“いない日に限って”問題が起きるんですよね～」とT次長に向かって苦笑い。
すると次長は「問題はいつも起きてるんだよ。担当者がいるときは、本人がそれに黙って対処しているから、まるで何も起きてないかのように見えるだけ」だと。目からウロコでした。