長谷川櫂さんのコラム『四季』で取り上げられていた一首が目にとまり、出逢いと別れについてしばし考えた。
運命と言ってしまえば楽になる出逢いたることもう会わぬこと(太田二郎)
「出逢い」は偶然の賜物で、それは「運命」。一方で、「もう会わぬこと」は「意志」だ。
しかし、そのような決断に至るプロセスには数多の偶然があり、それが積もり積もって「もう会わない」に至るとすれば、これも「運命」なのかもしれない。
いや、むしろそんなふうに「運命」だと考えたほうが楽になる。つまり、そう考えないと「もう会わない」という自分の意志が揺らいでしまう。
でも、ほんとうは「もっと会いたい」のだ。せっかく出逢ったのだから。